茅場町いとう医院ふろくのブログ

東京都中央区にある産婦人科・女性内科のクリニック

産科

麻しん(はしか)について -妊婦さん豆知識ー

茅場町いとう医院、内科担当の伊東佳子です。

今回は「麻しん(はしか)」と妊娠ついてのお話です。

実は今月に入り中央区内を中心に麻しん患者さんが散発しているのです。
昨日も日本橋地区において麻しん疑いの患者さんが出ております(まだ確定診断ではありませんが)。

本来の麻しんの流行は子どもさんを中心に春から初夏、といわれていますが、昨年の大阪での流行が秋だったように、最近は季節を問わず小規模の流行がみられることがありますので、十分な注意が必要です。

よく似た名前の病気に風しん(三日ばしか)があります。
妊娠初期(おおむね妊娠20週くらいまで)に妊婦さんが感染すると、胎児に感染し、「先天性風しん症候群」という病気をもたらす感染症です。

では、麻しんはどうかというと

「麻しんで胎児に先天異常をきたすことはほぼない」とされています。

でも、安心しないでください。

麻しんは妊婦さんに感染すると、重症化することがあります。
そして流産や早産を引き起こすことが知られています。
また分娩直前の妊婦さんが感染すると赤ちゃんが麻しんに感染した状態で生まれてきて、非常に重篤な状態になる場合もあります。

先天異常は起こさないけれど、胎児(場合によっては母体も)の命にかかわる可能性がある疾患。

それが麻しんです。

中央区近隣にお住まい、もしくはお仕事をしていらっしゃる方は、今後の保健所からの情報に十分注意をしてください、
そして、麻しんもしくはその疑いのある方と接触した方は、保健所に対応可能な病院について確認の上、病院に事前連絡してから受診をお願いします。

なお、麻しんの潜伏期間は10-12日といわれております。
潜伏期間の後、38台の発熱と咳、鼻水、くしゃみ、目の充血や目やにが2-4日間つづき、いったん熱が下がります。
そしてその後39-40度の高熱が出て、顔から体、腕や足などに発疹がひろがるというのが典型的な経過です。

ただし、最近はワクチンによる免疫が低下してきた方などに、一部の症状のみが出る修飾麻しんという非典型的な経過をたどる麻しんも出ています。

不安を感じる症状が出た方は、今後の感染拡大の予防のためにも、まずはお電話にて最寄りの保健所もしくは医療機関に相談し、指示を確認してください。
休日の場合は、東京都医療機関情報サービス「ひまわり」03-5272-0326にご相談ください。

麻しんは空気感染が主な感染経路で、ほかに感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによる飛沫感染や、ウイルスの付着した手で口や鼻に触れることで感染する接触感染もあります。
感染力は非常に強いので、流行情報が出たらマスク、手洗いはもちろんですが、妊婦さんについてはできるだけ外出を避けるなどの注意も必要です。

ただし、不顕性感染(感染しているけれど症状が出ない)はほとんどないとされていますので、潜伏期にあたる期間が過ぎても症状が出ていなければ、感染はしていないと考えて大丈夫です。

副院長 伊東佳子

風疹予防接種の費用助成について-中央区在住の方へ-

現在、風しんが流行しています。

風しんは、感染すると2~3週間の潜伏期の後、軽いかぜ症状ではじまり、発しん、発熱、リンパ節腫脹などの症状が出ますが、発しんも発熱も三日ほどで治るので三日ばしかとも呼ばれる病気です。
人にうつす可能性があるのは、熱が出る前1週間から、発熱後5日間程度といわれています。
症状が軽いので、自分がかかったことに気付かず、出歩いて感染を広げてしまうため、流行しやすい病気の一つです。

ところが、この症状の軽い風しんでも、妊娠初期の女性がかかると大きな問題になります。

妊娠初期の女性がかかると、おなかの中の赤ちゃんにも感染し、先天性風しん症候群(CRS:congenital rubella syndrome)という病気を引き起こしてしまうからです。
そして赤ちゃんに生まれつきの心臓病や難聴、白内障などさまざまな症状を起こしてしまうのです。

(このあたりについてはフィクションですがアガサ クリスティの「鏡は横にひび割れて(映画:クリスタル殺人事件)」によく描かれています。)

そこで、風しんの流行対策、特に先天性風しん症候群への対策として、抗体検査やワクチン接種などの対策が進められています。

中央区の場合、昨年に引き続き、今年度も3月31日まで(平成27年3月31日まで)抗体検査とワクチン接種の費用助成が行われています。

対象となるのは、19歳以上の区内在住者で、風しんにかかったことがなく、風しん単抗原またはMR(麻しん風しん混合)ワクチンの予防接種をしたことがなく、風しんの抗体検査をしたことがない以下の方です。

抗体検査
1. 妊娠を予定または希望する女性とその同居者
2. 妊婦健診風しん抗体価が低かった妊婦さんの同居者

予防接種
1. 上記、抗体検査の結果、風しん抗体価が十分でなかった方
2. 出産後等の方で、妊婦健診等で既に抗体価が十分でないことがわかっている方

上記に当てはまる方は中央区保健所または日本橋・月島各保健センターにて申請書を記入し、助成券(風しん抗体検査及び予防接種予診票兼助成金申請委任状)を交付してもらってから、受診してください。

直接、交付窓口に行けない場合は郵送申請も可能です。
その場合は区のHPに申請書がありますのでダウンロードし、郵送申請してください。
https://www.city.chuo.lg.jp/kenko/hokenzyo/sessyu/senntennseihusinnkinnkyuutaisaku.html

茅場町いとう医院の場合、抗体検査は予約不要ですが、ワクチン接種の場合は電話でのご予約をお願いしております。
(風しん抗体検査、ワクチン接種については、当院受診中の方のご家族であれば男性も受診可能です)

なお、助成券がない場合は、自費での抗体検査、ワクチン接種となります。
区外の方の場合は、お住まいの自治体のHPなどをご確認ください。

茅場町いとう医院で自費での検査、ワクチン接種を行う場合は以下の料金となっております。

風しん抗体検査(HI法)    2300円
風しんワクチン         5200円
(風しん単独ワクチンは供給量が少ないため、特別な事情がない場合は下記の風しん麻しん混合ワクチンの接種をお願いしております)
風しん・麻しん混合ワクチン 8500円
(抗体検査の際は別に初診料3000円もしくは再診料1000円が必要となります)

風しんも、先天性風しん症候群も予防できる病気です。
妊婦さんはワクチン接種ができませんが、多くの人がワクチン接種をすることで、現在の流行を食い止めることができ、結果として妊婦さんを風しんから守ることができます。

自分のため、家族のため、何よりも生まれてくる赤ちゃんのため、抗体検査とワクチン接種をお願いします。

花粉症の妊婦・授乳婦さんへ -妊娠と薬ー

今年もスギ花粉が増えてきましたね。

妊娠中や授乳中はお薬が使えないから、とメガネ&マスクで我慢している妊婦さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん、メガネ&マスクで乗り切れるなら、それでよいと思います。
でも、問題はそれでも症状に悩まされてしまう場合…。
そういう時は、ぜひ医療機関に相談してみてください。
妊娠中でも使えるお薬、実は結構あるんです。

妊娠中でも使いやすいお薬の代表選手は点鼻・点眼薬です。

特に点鼻薬の中でもステロイド点鼻薬は1日1~2回の点鼻で効果があり、全身への影響もほとんどないため妊娠・授乳中の治療薬としては非常に有用です。
症状の軽い方でしたら、このお薬に点眼薬を適宜組み合わせることで、ずいぶん楽にこの季節を乗り越えられると思います。

内服薬の中にも、問題なく使用できる薬も何種類かあります。
「使用経験が少ない」という理由で、ほとんどのお薬が妊婦さんには「慎重投与」となっておりますが、実際には国内外でかなりの使用実績があり、胎児への影響はないと考えられている薬もあります。
点鼻薬が使いにくかったり、それだけでは症状を抑えられない場合などは、医師にご相談ください。

また、漢方薬も効果があります。
即効性という点ではやや劣る場合もありますが、ほかのお薬との組み合わせで使用することもできますので、ご相談ください。

茅場町いとう医院の副院長も花粉症です。
妊娠中は、くしゃみのせいで尿もれしたり、おなかが張ったり…。
それが服薬によってだいぶ楽になり、閉じこもらずにマタニティライフを楽しめた、という経験があります。
つらいときは我慢しすぎず、気軽に医師に相談してくださいね。

リステリア菌って知っていますか?-妊婦さん 豆知識ー

妊婦さんになって母子手帳をもらいに行くと、一緒にいろいろなパンフレットをもらうことと思います。
検診の案内だったり、母親学級の案内だったり。

その中に最近は「リステリア菌食中毒に注意しましょう」というパンフレットが入っていることと思います。

突然「リステリア菌」などという聞きなれない名前を出されて不安になってしまう方もいるかもしれません。

そこで今日は、リステリア菌について少し詳しくご説明します。

リステリア菌というのは、食中毒の原因菌の一つです。
自然界に広く分布していて、食品加工施設や家庭内からも発見されることがある菌です。

感染しても症状が出ない場合が多いのですが、免疫力の落ちている人が感染すると、発熱、筋肉痛などを起こします。
食中毒菌ですが、胃腸炎症状を出さない場合もあるので、注意が必要です。

妊婦さんの場合、母体自身が重症化する場合と、胎盤や血液・羊水などを介して胎児に感染し、胎児が重症化する場合があります。
重症化すると、髄膜炎や敗血症をおこし、命にかかわる場合もあります。
治療は抗菌薬です。

潜伏期間は長めで、原因食品を口にしてから1週間以上経過してから発症する場合もあります。

ほかの菌と大きく違うのは、この菌が低い温度でも死なないだけでなく、ゆっくりと増えていく、という点です。
また、塩分にも強いため、塩漬けされたり、塩分濃度の強い食品の中でも感染力を失わないという特徴もあります。

このため、長期間冷蔵保存された食品から感染してしまうことがあり、冷蔵保存技術の発達した先進国での感染が問題となることが多いのです。

日本ではどうかというと、今のところ、大規模な感染は2001年の北海道でのチーズを原因とした感染のみで、あとは年に数十件程度の散発発生が疑われる程度です。

日本での発生は少ないのですが、食の欧米化に伴い、チーズや生ハムなど長期冷蔵・塩蔵保存された食品が食卓に上る機会が増えていますので、今後発生が増えることが懸念されています。
ですので、妊婦さんには、より注意をしていただきたいと、パンフレットが配られているのです。

冷蔵保存を過信せず、食べる前の加熱を十分に行い、安全においしい食事を召し上がってください。

栄養バランスにも気を付けてくださいね。

産科(周産期)セミオープンシステムについて

妊娠は病気ではない、とよく言われます。
その一方、100%安全なお産というものは存在しない、とも言われます。

この二つの相反する言葉、これが現在の妊婦さんの不便や不安につながっていると思います。

それを便利と安心に変えるのがセミオープンシステムです。

経過が順調な時はご自宅や職場近くの診療所で妊婦健診を受け、何か問題が発生した時や分娩の時には設備もマンパワーも整っている大きな病院で受ける。
これがセミオープンシステムです。

このシステムが成り立つためには病院と診療所の連携が不可欠です。

分娩病院が妊婦健診で行っているのとかわらない質と内容の妊婦健診を、連携する診療所でも行っていないと、いざという時に分娩病院でも対応しきれないからです。

茅場町いとう医院では現在、日本赤十字医療センター、愛育病院の二つの病院とセミオープンシステムを結んでおります。

普段の検診や、緊急ではないけれど少し不安なことがあった時などは気軽に当院を受診していただき、専門的な医療が必要な場合は速やかに大きな病院に受診することができるこのシステム。
快適で安心なマタニティライフのためにもぜひご活用ください。

☆セミオープンとオープンの違いについて☆
オープンシステムとは分娩の際、それまで検診を行っていた診療所の医師が立ち会って出産を行うものです。
妊娠経過をよく知る医師が立ち会えるという点でより安心なシステムです。
ですが、外来を急にしめて分娩病院に駆けつける、というのは現実にはなかなか困難です。
セミオープンではその困難を解消するため、妊娠経過を診療所と病院でわかりやすい形で共有し、分娩自体は病院の医師が対応するという形をとっています。
ごあいさつ
日本橋茅場町にある産婦人科・女性内科のクリニックです。

HPに載せきれないいろいろな情報をブログにつづっていきたいと思います。