妊娠中に必要不可欠な栄養素「葉酸」。
最近はサプリもいろいろ出ていますよね。
でも、いったいどのくらいの量をどのくらいの期間とったらよいのでしょう?
少し詳しく解説してみます。


葉酸ってどんな栄養素?

葉酸はビタミンB群の一つ、水溶性ビタミンです。
葉酸は、細胞の中でメチオニンというアミノ酸の代謝にかかわっています。
メチオニンは、たんぱく質や、細胞増殖に必要な「核酸」の合成にも必要です。
また、葉酸は動脈硬化物質の一つであるホモシステインが増えすぎないようにしています。
このため、葉酸が不足すると貧血が起こりますし、長い間不足し続けると動脈硬化や認知症の一因となることもあります。

胎児、特に妊娠初期は細胞増殖が盛んなので、葉酸が重要になります。
妊娠初期に葉酸が足りないと胎児に「神経管閉鎖障害」という障害を起こす確率が高くなることが知られています。※注
神経管というのは脳やせき髄などの中枢神経のもととなる部分です。
ここが上部で閉鎖障害になると脳が形成不全を起こします。
下部で閉鎖障害になると二分脊椎といって下肢や膀胱・直腸の機能障害を起こします。

※注:葉酸を十分にとっていても別の原因で「神経管閉鎖障害」が発生する場合はあります。「神経管閉鎖障害」のお子さんのお母さんがすべて葉酸不足だったというわけではありません。

どのくらいの量を取るといいの?

摂取の目標量は18歳以上の女性で240μgとされています。
妊娠中はプラス240μgの計480μg、授乳中はプラス100μgの計340μgが目標となります。

なお、妊娠を希望する女性については、受胎前後の3か月間プテロイルモノグルタミン酸(サプリメントなどに含まれる形)として400μg、食事性の葉酸に換算すると800μg分を1日あたり余分にとることが推奨されています。

葉酸はその名の通り葉物野菜や海藻類、豆類に多く含まれています。
ただし、水溶性ビタミンで熱にも弱いため、ゆでると含有量が減ってしまいます。
このため、妊娠を希望する女性に推奨される量を食事ですべて取ろうとするとかなり大変なので、妊娠を希望する女性には400μg分はサプリメント等で摂取することが推奨されているのです。

サプリメントでの摂取に抵抗のある方もいらっしゃるとは思います。
ちなみに、アメリカ、カナダではパンの原料の小麦粉などに葉酸の添加が義務付けられていますが、それにより神経管閉鎖障害の赤ちゃんが減少したという報告があります。
野菜などの食物を食べないかわりにサプリメント、ではよくありませんが、野菜などを適切にとっても不足しがちな栄養素を補うためのサプリメントはぜひ上手に取り入れていただきたいと思います。

葉酸を取りすぎるとどうなるの?

葉酸は水溶性ビタミンなので過剰に摂取された分は速やかに尿として排出されます。
また、過剰摂取すると吸収に必要な胃からの内因子が飽和して吸収されにくくなります。
このため過剰摂取による健康障害の心配はまずないとされています。

特殊な例として、ビタミンB12欠乏症を起こしている場合は、その症状を出しにくくしてしまうので結果として重い合併症を起こすまでビタミンB12欠乏症に気づかないという場合があります。
ただし、これはビタミンB12を適切に摂取していれば防げます。

また極端に大量に摂取すると今度は逆に葉酸の働きが抑えられてしまうことも知られていますが、その量は5000μg以上とされています。
これは葉酸欠乏症の時に薬として処方される葉酸の1錠分の量に相当します。
(治療の際はこの薬を1-4錠服用します)

ですので一般的なサプリメントを用法を守って服用している場合は過剰となることはないと思っていただいて大丈夫です。
なお、厚生労働省は女性の耐容上限量(ここまでならまず安心という量)を27μg/㎏(体重50㎏なら1350μg)としています。
またサプリメントでの摂取については18~29歳で900μg、30~69歳で1000μgとしています。

いつまで葉酸の摂取が必要なの?

葉酸が最も必要とされるのは妊娠前から妊娠初期の時期です。
それはこの時期がもっとも赤ちゃんの細胞分裂が活発で体の基本となる部分が作られているから。
ではその後はどうでしょうか。

葉酸は血液(赤血球)を作るために欠かせない栄養素です。
なので、妊娠の中期から後期、貧血が起こりやすくなる時期にも鉄とともに必須の栄養素となります。

また、葉酸不足は動脈硬化を起こすホモシステインの濃度を上げてしまう恐れがあります。
特に体質的にホモシステインの濃度が上がりやすい場合は、胎盤の血管に悪影響を与え「胎盤関連産科合併症」を起こすリスクが高くなります。
「胎盤関連産科合併症」の代表例は妊娠高血圧症候群や常位胎盤早期剥離などで、いずれも母子ともに命の危険のある注意すべき合併症です。

妊娠後期に葉酸を取りすぎると生まれた子どもの喘息が増えるという海外からの報告もありますが、データとしての信頼度はあまり高くはなく、リスクとしても不足している場合の貧血や胎盤関連産科合併症に比べれば小さなものです。
また、摂取量としてもサプリメントとして1日当たり1000μgを超えていなければ問題はないとされています。
過剰よりも不足のほうが問題となりやすい栄養素なので、妊娠の中期以降も積極的な摂取が望ましいと考えます。

葉酸のほかに妊娠中に必要な栄養素は?

日本人の妊婦で不足しがちな栄養素は葉酸のほかに、鉄とカルシウムがあります。
またマグネシウムやビタミンC、ビタミンDなども不足しがちな栄養素です。
葉酸だけではなく、これらの栄養素もバランスよく摂取していただきたいと思います。
また、前述したように葉酸を摂取するときは一緒にビタミンB12も摂取して、ビタミンB12欠乏症を起こさないようにしていただきたいと思います。

当院の推奨サプリについて

当院ではサプリメントの指定はしておりません。
食事で十分摂取できるならそれでも良いですし、鉄だけ、葉酸だけ、といったサプリメントの使い方でもその方の食生活に合っていれば問題ないと思います。
気を付けていただきたいのは、ビタミンAを過剰に含んでいないサプリメントを選んでいただくことだけです。
ビタミンAが過剰になると胎児の耳などに先天異常を起こすリスクが高くなる場合があります。
ただし、ビタミンAの前段階であるβカロテンについては、過剰になるとビタミンAに変化しなくなるので過剰摂取を心配する必要はありません。

ただ、もし、数あるサプリメントの中でどれを選べばよいだろうと悩まれる場合には「エレビット」という商品をお勧めしております。
含まれる栄養素のバランスが良く、お値段も比較的リーズナブルと思います。
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製薬会社さんからクーポンを提供していただきましたので、もしご希望があれば受診の際にお申し付けください。
2020年8月31日までの初回限定クーポンと、それ以降も利用できるクーポンがありますのでご相談ください。
ご注意ください!
いずれのクーポンも3回以上(=3か月以上)の定期購入が必要となります。
1回お試しの場合は通常単価となります。
心配な場合は1回分のサンプルをご用意していますので、お気軽にお申し付けください。
(数に限りがありますので、欠品の際はご容赦ください)