先日、わたし(副院長)の娘に子宮頸がんワクチンの接種を行いました。 
その時のことをふまえ、子宮頸がんと頸がんワクチンについて考えてみたいと思います。

■防げるはずの子宮頸がんで亡くなる女性がいる現実

この記事を書いている2020年3月現在、ニュースでは毎日のように新型コロナに感染した人の数、亡くなった人の数が報道されています。
では子宮頸がんの患者数などはどのようになっているのでしょう。
日本では毎年約1万人の方がこの病気になり、約2800人が亡くなっています。
これを新型コロナのように報道するとしたら…

「今日新たに27人の女性の子宮頸がんの発症、8人の死亡が確認されました。死亡者のうち1名は44歳以下でした。」

■ワクチンを打てば子宮頸がんにはならないの?

子宮頸がんの原因は一部の特殊な例を除き、ほぼHPV(ヒトパピローマウイルス)とされています。
HPVにはたくさんの種類がありますが、そのうち15種類ほどががんに関連するといわれています。
日本で認可されているワクチンはこのうちの2種類、16型と18型を予防します。
残念ながら現在認可されているワクチンで予防できる子宮頸がんは全体の65%だけです。
ただし20-30代に限れば、発見されるがんの80-90%を予防できるとされています。
子宮頸がん全体の90%以上の予防効果があるとされる「9価ワクチン(9種類に効果のあるワクチン)」も開発され一部の国では接種が始まっていますが、日本ではまだ認可されていません。
ですので、ワクチンを打っても安心せず、子宮頸がん検診を定期的に受ける必要があります。
なお、40代以上で増えてくる子宮体がんは女性ホルモンの影響によるものですのでワクチンでは予防できません。

■ワクチンの副作用は?

ワクチンを打った方の80%に一時的な腫れや痛みが生じます。
また、一部の方は痛みそのものに加え、注射への恐怖や過度の緊張が原因となって「血管迷走神経反射」を起こすことがあります。
これは採血で気が遠くなる、という状態と同じメカニズムのもので、薬が原因ではありません。
緊張しやすい方は横になって注射を打ち、30分ほど休むことで予防できます。
まれ(96万回に1回程度)に重い過敏症(アナフィラキシー)が出る場合があります。

ワクチン接種後に重篤な慢性の痛みや運動機能の障害などの後遺症が出た例が報告されており、このため現在日本では「積極的な推奨」を取りやめている自治体が多くあります。
これらの重篤な症状の中にはワクチンとの因果関係が不明なものもありますが、それらを含め調査、治療、救済措置が進められています。
平成27年の報告では接種10万人当たり約5人に未回復の後遺症があるとされています。

■なぜ公費では中学生女子が接種対象なの?

HPVは性交渉で感染するウイルスです。
しかし決して特別なウイルスではなくありふれたウイルスなので、現在のワクチン接種状況だと性交渉の経験のある女性の80%が、生涯のうちに一度はHPVに感染するといわれています。
コンドームなどでも完全には防ぎきれず、一度の性交渉でも移ることがあります。
残念ながらワクチンにはかかってしまったHPVを治す力はありません。
ですので、性交渉が開始される前に接種を行うことが大事なのです。
社会からHPVを排除するために男性に対してワクチン接種を行う国も出てきていますが、日本では「9歳以上の女性」が認可対象のため、公費でも女子のみが対象となっています。

■いざ接種!我が家の場合

我が家の娘は中学2年生。
そろそろ接種をした方がよい時期になっていました。
本音を言えば、90%以上に効果のある9価ワクチンを打ちたいところです。
しかし、このワクチンは日本では認可されておらず、海外からの並行輸入となります。
万が一、何か問題が起きたとしても国の救済措置はなく、完全な自己責任となります。
安全性が高いとはいえ、100%はないのが医療の世界。
ですので今回は公費で認可ワクチンを接種することにしました。

ここからは自治体によって異なりますが、中央区ではまだ「積極推奨ではない」という理由で、保護者が直接保健所、もしくは保健センターに母子手帳をもって出向いて手続きをしなければなりません。
ちょっと面倒ですね。
そのあとは接種の日を決めて、渡されたパンフレットをよく読んで、いざ、接種!

子どもたち(我が家は双子です)の感想は
娘①「痛いときのインフルエンザくらい」
娘②「痛くないときのインフルエンザくらい」
だそうです。
極端に痛いわけではなかったようです。
接種後も特に副反応なく無事1回目の接種を終えることができました。

我が家は子宮頸がん2種類、尖圭コンジローマ(良性のイボ)2種類を予防できる「ガーダシル」を選択したので、次回は1か月後、3回目は半年後です。

ちなみに茅場町いとう医院の場合、接種希望の2日前までにお電話でのご予約をお願いしております。
十分に説明するお時間を取るため、ご予約は「女性内科」の診療日に受け付けております。
また、接種時期を過ぎてしまった方には自費での接種も受け付けております。
この場合は1回目16700円、2・3回目14800円(いずれも税抜き)となります。
高いワクチンとなりますので、できれば公費負担があるうちに接種されることをお勧めします。