緊急避妊について相談を受けるケースが増えています。
今日は緊急避妊についてよくきかれる質問にQ&A形式でお答えしていきます。
(平成28年度の指針をもとに以前の記事を加筆・修正しています)

緊急避妊にはどのような方法がありますか?

下記の3つの方法があります。
(1)緊急避妊薬(ノルレボ)を服用する方法
性交後72時間以内にノルレボを1錠飲む方法で、効果の高さと副作用の少なさからWHOで第一に推奨されている方法です。
ノルレボはプロゲステロンという卵巣から分泌されるホルモンと似た形をした合成薬で、排卵を抑制したり、着床を妨げる作用があるとされています。
避妊効果(妊娠阻止率)は85%ほど、副作用は主に悪心(吐き気)で5%ほどといわれています。

(2)中用量ピルを服用する方法(ヤッペ法)
ノルレボが日本で認可される前に使用されていた方法です。
中用量ピルを72時間以内に1回、その12時間後にもう1回内服します。
避妊効果(妊娠阻止率)は57%ほど、副作用発生率は50%程度といわれ、主な副作用は悪心・嘔吐です。
ノルレボより安価で提供可能なため、経済的事情で選択される場合もありますが、効果を考えればノルレボのほうがよいと思います。(茅場町いとう医院では処方しておりません)

(3)子宮内避妊器具を挿入する方法
子宮の中に避妊器具を挿入する方法です。
性交後120時間以内の挿入で効果があるとされています。
避妊効果(妊娠阻止率)は非常に高く99%以上といわれています。
性感染症(特にクラミジア)がある場合は骨盤内に炎症がひろがる恐れがあり注意が必要です。
また、経腟分娩を経験したことがない方(未産婦)でも挿入は可能ですが、挿入時に痛みを伴う場合があります。
一度挿入すると2年から5年間効果が続きます。
従来型、銅付加型、黄体ホルモン含有型の3種があり、緊急避妊では銅付加型が推奨されています。

緊急避妊薬(ノルレボ)は72時間を過ぎると効果がないのですか?

ノルレボの避妊効果85%というデータは性交後72時間以内に服用した場合のものです。
72時間を超えると、この数値はさがっていきます。
が、この数値の下がり方についてはしっかりしたデータが見つかりません。
ノルレボの作用機序についてははっきりわかっていない面もあるのですが、排卵を抑制する、という一番大きな作用から考えると、やはり72時間以内の服用が望ましいと思われます。

ノルレボを1回飲めばその周期は妊娠しないのですか?

そんなことはありません。
ノルレボの効果は、服薬前72時間以内の性交に限られるとされています。(服薬後12時間以内であれば避妊効果があるという報告もあります)
服薬で排卵が遅れてタイミングをずらせても、そのあとに無防備な性交があれば、そこで妊娠する可能性があるのです。
実際、ノルレボを服用した後、性交をおこなった場合は、行わなかった場合に比べて避妊効果が弱まるという報告があります。
ノルレボ服用後は別の方法できちんと避妊を行ってください。

もし妊娠してしまった場合、赤ちゃんに悪影響はあるのですか?

ノルレボを使用する方法の場合、赤ちゃんへの悪影響はないとされています。
子宮内避妊器具を用いた場合、先天異常との関連はないとされていますが、流・早産の危険が高くなるため、器具の除去が必要となります。

ノルレボを飲むと、その後妊娠しにくくなったりしますか?

ノルレボを飲むことで、将来の妊娠しやすさに影響はないとされています。
(つまり、1回飲んだだけでは、その1回にしか避妊効果はないということです。)

ノルレボの使用回数に制限はありますか?
何回か使うと効果が弱まったり、体に悪影響が出たりしますか?


複数回使用しても効果と副作用に大きな変化はないとされています。
しかし、このお薬自体の避妊効果は低用量ピルや子宮内避妊器具に比べると低く、継続的な避妊方法としては不確実なものといえます。

ノルレボを飲んだ後、数日して少量の出血がありました。
これは生理ですか?


ノルレボを内服すると子宮内膜の状態が変化して少量の出血がおこる場合あります。
これは生理ではありません。
いつもの生理に近い量の出血があった場合に生理が来たと考えてください。
月経予定日を1週間超えても生理が来ない場合は、妊娠している可能性もありますので、産婦人科に相談してください。

ノルレボを飲む場合、飲み合わせに注意が必要な薬はありますか?

一部の抗てんかん薬、HIV治療薬、結核治療薬、セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)含有食品を使用している場合は、効果が弱くなる恐れがあります。
セイヨウオトギリソウは気持ちを落ちつけたり睡眠を改善する作用があるとされるハーブで、ハーブティーなどにも使われていることがあるのでご注意ください。


緊急避妊にかかる費用はどのくらいですか?

緊急避妊はどの方法も保険適応ではないため、各医療機関が独自に値段を設定しています。
茅場町いとう医院の場合ですと、下記のとおりとなります。
ご参考にしてください。(なおすべて10%の消費税課税対象です。)

・ノルレボ 9500円(税抜き)
 (相談料含む。相談のみの場合には相談料2800円(税抜き)となります。)
 (当院では先発品のノルレボで処方を行っております)
  
・中用量ピル 当院では、避妊目的としては採用しておりません。

・子宮内避妊器具(IUD)
  銅付加型(ノバT) 29000円(税抜き)
 (診察、超音波検査、抗菌薬処方等含む。ほかに装着後1か月検診と、年1回の定期検診が必要です。クラミジア感染症の可能性が高い場合は検査及び抗菌薬の費用が別途かかります。)