おせちに入る海老は「腰が曲がるまで長生きできるように」という長寿の願いを込めているといわれます。

でも、できれば海老のように腰が曲がるよりは、まっすぐ背筋を伸ばして歩ける老後を迎えたいものです。
そのためにはどうすればいいのでしょう?

腰が曲がってしまう原因。
これは背骨が圧迫骨折という、骨折を起こしてしまうことによるものです。
骨が弱くなって、体の重みを支えきれなくなり、折れてしまう…。

これが「骨粗しょう症」という病気です。

弱くなるのは背骨だけではありません。
足の骨、手の骨なども弱くなり、骨折による痛みと不自由さ、さらには寝たきりという事態も引き起こす、怖い病気です。

全部漢字にすると「骨粗鬆症」。

「鬆」という漢字はあまりなじみがない字ですが、「す」と読み、「すが入った大根」とか「茶わん蒸しにすがたってしまった」などというように日常会話、特に家事の中でよく使われる言葉です。

「粗」は「あらっぽく雑な」、「鬆」は「小さな空洞があいてスカスカになっている状態」という意味ですから、「骨がもろくスカスカになっている状態」を骨粗しょう症とイメージしていただけるとよいかと思います。

実際には、どの程度もろくなると骨粗しょう症とするのかというと、健康な若年成人(20-44歳)の骨量の70%以下まで骨量が減り、骨折しやすくなった状態(もしくは80%未満ですでに骨折を伴う状態)を骨粗しょう症としています。

現在、日本では1300万人の患者がいると推定されています。
これは実に人口の10分の1、60歳以上の女性に限ると3人に1人は骨粗しょう症と推定される程の数となります。
とても他人事といえる割合じゃないですよね。

ところでどんな人が骨粗しょう症になりやすいのでしょう。
具体的には以下のようなことがリスクとされています。

・女性
・加齢
・閉経後(ホルモン療法や卵巣摘出などで閉経後に似た状態の場合も含む)
・極端な痩せ
・家族に骨粗しょう症の患者がいる
・喫煙
・過度な飲酒
・偏った食生活(若いころのダイエットも含む)
・運動不足
・その他病気や服薬(糖尿病、膠原病、腎臓病やステロイド内服治療など)

(以前は妊娠、授乳もリスクを高めるといわれていましたが、現在では妊娠・授乳中は母体のカルシウム吸収率がよくなり、また授乳終了後速やかに骨塩量がもとに戻るため、適正な栄養状態にあった方では大きなリスクにはならないと考えられています。)

女性であることや加齢はどうしようもありませんが、そのほかのリスクが重なる方は、ぜひ一度検診を受けてみてください。
(年齢の目安としてはリスクが低い場合で40歳、リスクが高い場合は35歳ごろから。もちろん若年でも検査は可能です)

茅場町いとう医院では超音波法による骨塩量検査を行っております。
かかとの骨の検査ですので、靴下を脱いでいただければすぐ検査でき、結果もその場でわかります。
妊娠の可能性がある場合なども検査可能です。

また、この検査で異常が疑われる場合は、血液検査による骨代謝異常のチェック、骨折リスクの評価も行い、最適な治療法(食事や運動療法も含む)を提案いたします。

しっかりした骨に支えられた元気な生活を送るために、気になることがあればお気軽にご相談ください。

当院の検査費用
自費の場合
 骨塩量検査(超音波法) 1500円 
 骨代謝検査(血液検査) 2000円
保険の場合(すでに骨粗しょう症が疑われている場合:3割負担として)
 骨塩量検査(超音波法) 240円
 骨代謝検査(血液検査) 1470円

いずれも初診料、もしくは再診料が別途かかります。
比較的若年での骨粗しょう症の場合、このほかに原因を調べるための検査を行う場合もあります。