初めての子育てには、不安がいっぱいです。出産後自宅に戻ってから、ほんのちょっとした買い物にすら出ることのできない状態での初めての子育て。里帰り出産から戻りたての場合もまた同じく、その時は正直なところ不安が喜びを覆ってしまい、まずなんとかしなきゃと思いつつも、思ってもみなかったことにどうにもならない、なんて経験をされた方がきっと多数派なのではないかと思います。

 


何と言ってもやはり「子育て」。とくに新生児の育児は「フルタイム勤務」と言えますので、ひとりでやろうと思っても、それは体も心も言うことをきいてくれなくなってしまいます。


 

ご家庭の事情は様々あろうとは思いますが、「周りの人」ということで考えてみた時に、お子さんにとってもう一人の親、父親が育児にどのくらい参加するか、ということの大切さをやはり考えてみたいと思うのです。イクメンという言葉にも代表される様に、かつては希薄であった父親の育児参加も少しずつ浸透しつつある様に思いますが、それでもまだまだ足りない、というのが正直なところかと思われます。


 

もちろん、無いよりはあった方が良いものですが、ただ出産後に数日休む、男親のいわゆる「出産休み」では本当に家に連れて帰るくらいのことしかできません。やはり、加えて少なくとも家庭での育児がそれなりに軌道にのるまでの間、例えば新生児の3か月検診くらいまでの間は男性も育児休暇を取ることなどできないものでしょうか。


 

厚生労働省の発表によれば、2015年度には過去最高の取得率2.65%を記録したとのことで、数値が上がりつつあること自体は良いことだと思うのですが、実態として残念ながらごく一部という表現をせざるを得ないかと思います。しかも取得内容にいたっては、少し前のデータですが5日以内、数日程度の取得が実に4割、もう少し長めでも1~2週間程度が2割程です。これが改善されているようなことは見えてきていないことを考えると、そもそも少ない取得者のさらに半数以上が、残念ながら実際ほとんど「育児参加」と言い得るほどの育児休暇を取得出来ていないというのが実情の様です。


 

経済的負担がほとんどの家庭にとって無視できない問題であることは変わらないでしょうし、法改正や制度の整備が進んでも、そこは一朝一夕に解決するものではないかもしれません。しかしながら、日本法規情報が行った「男性の育児休業についての意識調査」によれば、育児休暇を取得しない理由の最多は「仕事の代替要員がいない」ことであり、次いで経済的理由があったものの、それに続く理由は上司の理解のなさ、元のポジションに復帰できるかどうかが分からない、また将来的な昇進・昇給への悪影響への懸念など、職場においての理解不足や将来的不安に基づく回答が目立つものでした。とくに上司の理解のなさに関しては、世代による子育てに対する意識の違いが主因の様ですが、代替要員に関しては人的リソースを限った経営が進められる中、少しの休みを取ることすら大変な調整が必要という多くの現場での実情が見え隠れしてしまいます。

 


長年にわたり形作られてきた労働環境や価値観というものを、一朝一夕に変えることは難しいかもしれません。そのことを考えると、諸外国で見られる男性の育児休暇取得の実態などを、そのまま当てはめて考えることは、残念ながらできないかとも思います。

 


ただ、いろいろな課題がある中で、改めて「自分の子供を育てる」ことに父親として参加するという、ごく普通のことを真っすぐに考えてみる時なのではないでしょうか。

 


まだ言葉を話し始めるずっと前から、子供はちゃんとこちらを感じてくれています。そこから親としての役割を果たし始めるのは、母親、父親両方にとって等しく大切なことなのではないでしょうか。

 


その考えをひとりひとりがきちんと持ち、そのことについて話し始めていくことが、私たちがどう育児に関わっていけるのかの具体的な出発点となってくれるかもしれません。

 


母親になりたての女性にとっての大事で頼れる周りの人を、「周りにいるだけの人」にしてしまわないよう、ぜひ早くからご家庭で話し合ってみてください。


事務長 伊東昌彦